作成日時:2017年09月03日 22時11分21秒
更新日時:2020年11月28日 16時59分21秒
この記事は8年ほど前に投稿されました。内容が古くなっている可能性がありますので更新日時にご注意ください。
おはこんばんにちは!
というわけで前回言っていたアンプICの周辺部品が買えたのでアンプを1つ組みました。
はじめに
今回は今話題の(といってもいいほうじゃないんだが)東芝が製造しているアンプICで、2016年6月に登場したニューカーマ―でありますTCB501HQを使ったアンプを作りました。このICは現在小売りでは共立エレショップのほうに取り扱いがあるようです。1つ800円くらいのお手頃というほど安くもないが、まぁ高くもないICです。
このICはカーオーディオ向けに開発された4ch BTLアンプICで最大出力は4オーム、13.2V時に最大49Wの出力があります。一般的な家庭用スピーカーは6~8オーム程度ですので実際には2分の1の20W程度が期待できる出力となると思います。(タイトルには40Wと大げさに書いてますが(^^;
20Wもあれば、一般的な小型スピーカーを鳴らすには十分すぎる出力がありますし。期待できるICとなるのではないでしょうか。しかし、4chあるので、普通2chで使っていると2ch余りますね。まあこの辺りはセンターとウーハーで3.1ch構成にしたり、別途ICを追加して5.1chにしたり、2スピーカーを切り替えたりと。考え方によってさまざま使えると思います。詳しくは次の回路設計で書きますが。今回は基盤自体は4ch使える設計で作っています。
回路設計
回路についてはいつも通りメーカー仕様書の回路をそのまま使います。
何度か言っていますが。メーカー製の回路というのは、メーカーが売るためにお金と命を懸けて開発した。最低限そのICが問題なく動くための回路ですので。基本的にはそのまま作るべきです。とはいえ回路に試行錯誤をして自分なりに音質を追求するのも面白いですがね。残念ながらそんな知識もスキルも暇もお金もお金もありません。(大切なことなので2回言いました。)
まぁまだ新しいICなのでメーカーページを張っておきますのでそっちのデータシートを見てください。(そもそも大丈夫なのかこのメーカーという感じですが…。)
構成部品
部品 | 型番 | 購入店 | 単価 | 個数 | 計 |
最大出力49W BTL×4ch オーディオパワーアンプ | TCB501HQ | 共立エレ | 756 | 1 | 756 |
フィルムコンデンサ 0.1μF 250V | TS04B02E104KSB000R | 秋月 | 30 | 1 | 30 |
フィルムコンデンサ 1μF 250V | TS04B02E105KSB000R | 秋月 | 50 | 2 | 100 |
メタライズドPPフィルムコンデンサ0.22μF 250V | 250MPS224J | 秋月 | 40 | 4 | 160 |
カーボン抵抗 47kΩ | RD25S 47K | 秋月 | 1 | 1 | 1 |
電解コンデンサ 10μF 50V | UPM1H100MDD1TA | 秋月 | 8 | 1 | 8 |
電解コンデンサ 4700μF 50V | UKW1H472MRD | 秋月 | 320 | 1 | 320 |
2mmピッチ片面ガラス基板(72x48mm) | A-1L | 秋月 | 80 | 1 | 80 |
ターミナルブロック2ピン 青 | TB111-2-2-U-1-1 | 秋月 | 20 | 3 | 60 |
ターミナルブロック2ピン 緑 | TB111-2-2-E-1-1 | 秋月 | 20 | 2 | 40 |
ターミナルブロック3ピン 青 | TB111-2-3-U-1-1 | 秋月 | 30 | 1 | 30 |
汎用ヒートシンク(放熱器) | 24P45 L70-BA | 共立エレ | 259 | 1 | 259 |
合計 | 1844 |
というわけでメーカー仕様書にある部品のみです。なお、10μFの電解コンデンサに関しては当初フィルムコンデンサを使う予定でしたが、音質にあまり影響のある場所ではないのと、さすがに大きすぎて基盤に入らないので手持ちの電解コンデンサに切り替えましたが、まだ秋月電子に在庫があるようなので価格と型番を掲載しています。これは10個入で80円なので1個8円の計算にしています。もっとも、このコンデンサは音質への影響は大きくないので、手持ちや入手可能なものでよいと思います。あとは抵抗は100本100円のやつです。1本当たりの金額を書いています。
それと、今回ヒートシンクとして挙げているものも手持ちのストックで、一応これで持てないほど熱くなるわけではないので。問題ないとは思いますが、これから作る人はもう少し性能の良いヒートシンクを使うことをお勧めします。(PCのジャンク屋が近くにあるならPentium3くらいのPCについてるヒートシンクが良いかも)
まぁもともと車載用のICで動作温度高めですのでよほどのことがない限りは大丈夫でしょうけど。
それではそれ以外の部品の説明です。
詳細説明
メインICです。こいつは4ch×49Wの出力を持ったICで4オームの時の値になります。ですので一般的な家庭用スピーカー用としては20W程度になるでしょう。
出力が出力だけに放熱板は必須でそれなりのサイズが必要になると思われます。筐体冷却を行うには、ヒートシンクがついたような高価なケースが必要になってくるでしょう。
今回注意が必要なのは基盤ですね。
普段はどこにでもあるような2.54mmピッチの基盤を使っているのですが、このICは足のピッチが1mmでして、偶数奇数でオフセットがついていますので、2mmピッチの基盤でよい感じに配線することができますので2mmピッチの基盤を探してください。空中配線をするには少し小さすぎますし。
秋月にはこの2mmピッチと2×2.54mmピッチのものがあります。2mmのほうがコンデンサと相性が良いみたいなので、2mm四方ピッチのものでよいでしょう。
フィルムコンデンサですが、今回は完全に見た目で選びました。
本当は前述のとおり10μFもこれにしたのですが、大きすぎてコンパクトにまとめにくかったのと音質にあまり影響がないリップル除去用のコンデンサだったので手持ちの電解コンデンサに切り替えました。このコンデンサには大電流を流すようなことはないので、何でもいいです。見た目を重視してもいいし、コストや音質を重視してもよいです。なお、音質に関してはこの3つはそこまで大きな影響はないので特にこだわる必要もないかと。容量からして高音質型でもそんなに高くないので好きにしてください。
使用したのはニチコンの通常タイプの低インピーダンス品ですが。特にこれでなくてもよいです。
メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサはルビコン製を使いました。
これも見た目です。ただし、このコンデンサは入力カップリング用コンデンサになりますので。音質に大きく影響してきます。
今回のアンプはBTL構成のため出力側にコンデンサが不要なので、いちばん音質にかかわるコンデンサはこちらになります。
今回は4chすべてを生かすために4本用意しましたが。ステレオであれば2本でよいと思います。
音質に影響するのでできればメタライズドなフィルムタイプのコンデンサを選びたいところですが。小型化を優先するのであれば無極性のオーディオグレード電解コンデンサやもっと耐圧の低いフィルムコンデンサを使うという手もあります。これは入力信号をもろに受けますので気のすむまでお金をかけてください。
ところでコンデンサの違いで音質が変わるのわかります?私はさっぱりです。ただし唯一セラコンを使った時はなんか音悪いなぁと思いました。
ちなみにC5についている3900μFのコンデンサは、秋月に取り扱いがなかったので4700μFにしました。まぁ基本的には電源平滑用ですので大きければ大きいほど良いので適当に決めてください。(常識的な範囲で。3000~4000μF台ならよいでしょ。)
こいつはさすがにどうやっても基盤に乗らなかったので、ケースの中に独立させて配置することにします。ちなみにマルツにはあるみたいですね。3900μF。
ということでこんな感じになりました。あとは作っていくだけですね。
今回は基盤の組み立てと動作確認まで行いたいと思います。というのも、今回は4chもありどうしても大きくなってしまうのでちゃんとしたものを作ろうと計画中なので。
配線について(2018年1月7日追記)
こちらの作例では、配線は6~8Ω 20W前後を最大出力として想定しており、基本的には最大にすることはほぼ無いと思いますので、配線は基板で扱いやすいAWG24を使っています。
しかし、IC自体の絶対最大定格が9Aですので、AWG21以上の配線を使用しておくと良いかと思います。勿論太い分には問題ありません。
組み立て
まず基盤にICを実装します。ICの奥側のピンをまず軽く差し込んで、ピンセットやつまようじなどでちょっとずらすことで穴にピンを入れることができます。
すべて入れた後は傾いていないか、ピンがショートなどしていないかを確認して先にはんだ付けしておきます。
2mmピッチですのでできるだけ先の細いはんだごてと半田を使いましょう。
ICのはんだ付けが終わりましたらコンデンサの位置を決めます。
これは10μFを変更する前の写真ですので大きな10μFが鎮座していますね。
無理なく配線できるレイアウトが決まればはんだ付けをします。
とはいえ、このICは外付け部品がほとんどコンデンサで、コンデンサも音質を考慮しなければもっと小型のものが利用できるのである程度自由に配線できると思います。それよりも裏配線。特に出力段の配線がちょっと面倒です。
はんだ付け後IC側から見た感じ。この裏のコンデンサの配置が微妙すぎたので10μFを交換しました。
こちら側は制御用のピンを出しています。この後本来使う予定ではなかったミュート端子をこの後追加しました。
コンデンサを変更しコネクタを取り付けて完成しました。
入力側が右から1・2・GND・4・3となっていて、出力側がしたから1・2・4・3・となっています。
データシートのクロストーク特性をみると、14と23で使ったほうがよさそうですが。
裏側の配線はこんな感じ。上部の太い線がGNDラインでほとんど1ピン1部品で構成されているので基本的にほとんどリード配線ですね。
正直なところ、足さえ太ければ空中配線で十分なレベルです。
動作確認と音質評価
電源とどうでもいいスピーカーにどうでもいいプレイヤー(というほどどうでもよくないが)をつないで動作確認。この時点ですでに今使ってるICより音がいいです。
ちょいちょい小出しにしてきましたが、この状態でも特に問題なく動作しています。ただし、やはりちょっと熱くなるなぁというところもあるので。ヒートシンクはもう少し大きなほうがいいかも。
音質
普通のよろしい。低音もよく出ていてキレが良く、ボーカルも艶のある感じというか。ちょっと籠っている感じがある。しかし低高音はまったく籠ってないのでやはり艶というものなのだろう。音場は立体感がありなかなか良い感じである。もちろんもっと音質のいいICも回路構成もあるだろうけど。部品点数10点程度でこの音質が得られるのだから大したものである。
次回はICの制御関係を仕上げたいところですが。まだそもそもアナログにするのか電子ボリュームにするのかさえ決まってないですので今月中から来月初旬あたりになるんじゃないかと。実はアンプICをもう一つ買っていますので。もしかするとそちらのほうを先にやってみるかもしれません。(どうせなら5.1chアンプを作るのもいいかなと思うので。)
[…] 50W級パワーアンプを作る TCB501HQ編 […]