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Sakura87がほぼ月刊でお届けするPCや電子工作と写真の備忘録てきなブログ @なんと20周年

パワーアンプを作る。 TA8265K (2)

この記事は8年ほど前に投稿されました。内容が古くなっている可能性がありますので更新日時にご注意ください。

前回作ったTA8265Kのアンプを完成させます。

完成させますと言いますが。小型化を実現するために基板を作り直しました。基本的な部分は変わりませんが。ターゲット電圧を12-15Vと設定し、部品の耐圧を16Vに変更し小型化を図りました。

基板再製作


耐圧以外の部品の仕様は変わっていません。

ICは前回と同様秋月から購入し、その他の部品はマルツで外装パーツを買う時に買いなおしました。

電解コンデンサを出力カップリングをニチコンのFWに変更(意図的に落としたわけではなくよく見たらFWだった)

入力カップリングを無極性電解コンデンサからWIMA製のメタライズドフィルムコンデンサに変更。出力フィルタ(多分Zobelフィルタ)用0.1μFのコンデンサはメーカーのみ変更。47・100μFのコンデンサは変更なし(ただし銘柄がFG→FW)

電源用パスコンは出力カップリングと同じ銘柄が2本しかなかったため(多分いえば出てくるんだろうけど)あんまり音質に影響ないだろうと判断し日本ケミコンのKMGに変更。

抵抗もKOA製の3W級金属皮膜抵抗に変更。基板は同じものを採用。ヒートシンクを低背型に変更。よくチップセットとかの上に載ってるような奴。

基板制作

IEは足を折り曲げ、基板に接触させる形で実装します。

実装部品の位置決め。

はんだ付けをした感じ。
今回はねじ式のコネクタを採用しました。なかなかいい感じなため今後はこれを使っていこうと思います。

ヒートシンクを乗っけて完成。

電源用コンデンサは2つ入りしか売ってなかったのでせっかくなので2個つけて2000μF確保しました。

裏面。重い腰を上げてやっとこさ鈴メッキ線を買ったのできれいにまとまりました。

今回の取り付け金具。やっぱりパイプ型スペーサーよりこっちの方が取り付け作業性もよくしっかり固定できます。

こんな感じでくっつけて使います。別にねじとナットの向きは逆でもいいんですけど。こっちのが見た目がいい。

ちょっと微妙なことになっているコンデンサがいますが(゚ε゚)キニシナイ!!

新基盤のテスト中。ヒートシンク全然熱くならないのでもっと小さいのでもよかったかも。20Vで作るのならこれくらいいる?

ただ、12Vじゃ2W程度の出力にしかならないので(それでも一般利用では十分でしょうが)できれば20Vの耐圧がほしいところです。(25V耐圧品でそろえて1000μFを寝かせれば何とかなりそう?)

組み立て

いよいよケースを加工しアンプとして完成させます。

使用部品紹介

コネクタ類の一覧はこんな感じ。

スピーカーターミナルは少し大きめの。今回はちょっといいやつを使いました。

RCA端子も少し良いものを。今回は赤が在庫切れだったので白黒で。黒をRとして使います。BURAKKUのRですね!(えー

今回の音量調整はアナログボリュームでいくことにしました。電子ボリュームだとスペースが大きくなってしまうので。

電源ランプはここずっと使っている例のアレ+電球色LEDです。

電源スイッチは今回は大きめのものを採用。小型のもので十分なのだけど、比較的大きな方が見た目的にいいので。

ケースはいつものタカチ YMシリーズ。YM-150を採用しました。幅150mm 高さ40mm 奥行100mmのケースです。

つまみもいつものやつ。

今回はこのケースを縦向き上下逆で使う事にします。黒が主体の配色となってなかなか良い感じになります。

部品位置決め・ケース加工

今回も現物合わせで。

特に前面パーツが収まるかどうかを確認します。大丈夫そうです(この後スイッチとランプは位置を変えました。

設計図?CAD?なにそれおいしいの?という感じに直にマジックで書いて位置決めをします。

保護フィルムが貼ってあるのでその上からね。こっちは裏面だけど。裏面はケース本体の加工もするので縦方向はギリギリまで使います。(そうしないと入らない)

前面もこんな感じ。こっちは本体ケースを加工しないので本体側の耳を考慮します。

センターポンチであたりをつけ、3mmのドリルで小さめの穴をあけ。その後目標の径より少し小さめのドリルで穴を広げ、シャーシリーマーで9割のところまで広げ、現物で確認しつつやすりで整えてバリ取りして完成。

今回はなかなかいい感じにできました。

部品の取り付け~完成

部品をこんな感じで取り付けます。

(なお、取り付ける前に取り付け面の保護シールははがしておきましょう。画像を見たらわかりますが…(察して!))

取り付けが完了したら配線をします。

今回入力側にシールド線を使いました。シールド線はボリュームまでを片チャンネル1本使い、ボリュームからアンプを両チャンネルで1本使いました。

こんな感じでとりつけ。余ったシールドはこちら側はビニールテープで保護しています。シールドは反対側でGNDにつなげています。

アンプ基盤を組みつける。

スピーカーケーブルはあまりものを使用。こちらは1本ずつになっています。電源はいつものリード線で。電源ランプには22kの抵抗を挟みました。もう少し暗くてもよさそうです。

固定用のスペーサーは足が長かったのでナットを1つかませました。

天板のケースも加工。こっちは露出しないためハンドニブラーで切り取っただけです。

カバーを取り付けて完成。

前面はこんな感じ。なかなかシンプルにまとまりました。

背面はこんな感じ。こちらもきれいにそろっています。

本番環境に組み込み。

最後に

今回は消費電力こそ低いものの。小型に作れてよいものができました。

最新式のデジタルアンプを利用した既製品ではこのサイズで20Wクラスのものもあるようですが。アナログICだとこのサイズで10W程度が限界でしょう。以下に部品一覧を示しますが。コストとしてはあんまり既製品と変わらないくらいになっています。しかし、意外にこのサイズの市販アンプは少なく。中華企業が作った品がいくつかあるくらいですので。

そういうのが嫌いな人は自作するしかないんじゃないでしょうか。

部品リスト

前記事で事前に出している分も含めて必要な部品を書き出しておきますね。

部品 型番 購入店 単価 個数
ステレオオーディオアンプIC TA8265K 秋月 140 1 140
2.45mmピッチユニバーサル基板 ICB-293G マルツ 290 1 314
アルミ電解コンデンサ 16V 1000μF 105℃ KMG16VB1000M マルツ 100 2 216
オーディオ用電解コンデンサー1000μF16V85℃ UFW1C102MPD マルツ 90 2 195
オーディオ用電解コンデンサー100μF35V85℃ UFW1V101MED マルツ 50 1 54
オーディオ用電解コンデンサー47μF50V85℃ UFW1H470MED マルツ 50 2 108
ターミナルブロック 2ピン(青)(縦)小 TB111-2-2-U-1-1 秋月 20 2 40
ターミナルブロック 2ピン(緑)(縦)小 TB111-2-2-E-1-1 秋月 20 1 20
ターミナルブロック 3ピン(青)(縦)小 TB111-2-3-U-1-1 秋月 30 1 30
ポリエステルフィルムコンデンサ 63V 0.1μF ±5% MKS2C031001A00JSSD マルツ 50 2 108
ポリエステルフィルムコンデンサ 63V 1.0μF ±5% MKS2C041001F00JSSD マルツ 110 2 238
小形金属皮膜抵抗(MOSX) 3W 2.2Ω MOSX3C2R2J マルツ 40 2 87
2連式ボリューム A特性 50kΩ RD925G-QA1-A503 マルツ 180 1 195
RCAジャック 白 パネル用・金メッキ・絶縁型 RJ-2000B-T/W マルツ 225 1 243
RCAジャック 黒 パネル用・金メッキ・絶縁型(赤の代用) RJ-2000B-T/B マルツ 225 1 243
YM型アルミケース YM-150 マルツ 750 1 810
アルミ製ツマミ(ボリューム用) シルバー 30φ シャフト6.1φ 30X15BPS マルツ 537 1 580
スピーカー端子(赤黒セット品) HD-520S マルツ 429 2 927
スプリングワッシャ 3mm 50個入り 単価は1個あたり スプリングワッシャ3mm*50(RO) マルツ 3 4 13
ナット M3 50個入り 単価は1個あたり M3ナット*50(RO) マルツ 4 8 35
パネル取付DCジャック2.1mm MJ14ROHS マルツ 80 1 87
平ワッシャ 3mm 50枚入り 単価は1枚あたり ヒラワッシャ3mm*50(RO) マルツ 2 4 9
プラス小ねじ M3x6mm 20本入り 単価は1本あたり M3x6mmビス*20(RO) マルツ 5 4 22
放熱器(ヒートシンク) 12F51L50 マルツ 220 1 238
メタルスペーサー M3用 10mm BSB310E マルツ 45 4 195
小形トグルスイッチ ON-OFF S301 マルツ 340 1 368
合計 5515

 

基本的にICとケース以外は安いところを探したり、部品ランクを下げてもいいと思いますので。もうちょっと安くしようと思えば安くできると思いますし。もちろんもっと高くしようと思えばできると思いますが。その場合はそもそもアンプIC自体をいいものにした方がいいと思います。

音質

よく言えば普通。可もなく不可もなく。

よく聞くとあらが目立つだろうけど。一般的な音楽用としては十分な性能。出力が出力なのでちょっと低音が弱いような印象があるが。そこまで気になるほどではない。詳しい音質はエージングを待ってみないとわからないけど。まぁ値段なり以上の音質はある印象。フラットといえばフラットな音質。

体感的な感想よりも客観的なな事実である周波数特性の測定データを貼っておく。(無負荷)

8Ωのスピーカーを接続した数値

総合評価

今回はケース加工もうまくいったし。かなり小型にできてよかったと思う。

ボリュームについてはギャングエラーとか気にするのであれば電子ボリュームを採用するべきだろうけど。正直この程度のアンプであれば不要であるといえるだろう。どちらかといえば耳に近く繊細な音を鳴らすのに重点を置いているヘッドフォンアンプに採用するべきシロモノであると思われる。

さて、というわけで数々のアンプを作ってきたわけですが。そろそろネタにできるICがなくなったのでしばらくアンプづくりはお休みにして次はラズパイとか使ってデジタルな作品を作っていきたいと思います。

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“パワーアンプを作る。 TA8265K (2)” への2件のフィードバック

  1. 白虎 より:

    このアンプの回路図って無いですか?

    • Sakura87 より:

      コメントありがとうございます。
      こちらの記事は前後編の後編にあたる記事でありまして、回路図などの事前説明はもう一つの記事にて行っております。

      パワーアンプを作る。 TA8265K
      https://sakura87.net/archives/3895

      基板上に乗っている部品は殆どメーカーの仕様書に書いてある回路図そのままです。
      違うところは8番品のコンデンサが2個になっているところと7-9、10-9のコンデンサが0.12μFが入手できなかったので0.1μFのものを使用しいているくらいです。

      周辺回路は単にLEDとスイッチ、ボリュームに各種コネクタが接続されているだけで特に難しいことはしていないので回路図はありません。

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