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オシロスコープ DSO203(DSO Quad互換品) 購入レビュー前編

この記事は8年ほど前に投稿されました。内容が古くなっている可能性がありますので更新日時にご注意ください。

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そろそろ必要かなと思ったのでオシロスコープを買いました。

アンプやマイコン制御の電子工作をしていると、自分が作ったものがきちんと動いているのか確認したくなるのは自然の流れだと思います。例えば音が出るか、ランプが光るか、制御ができるかというのを調べるのに、実際に動かしてみればすぐわかるものですが。

「動かない」という時になぜ動かないのか、どこが間違っているのかを知るのは難しいです。例えば明らかな異常動作や可聴域での発振、発熱といったものは人間の能力で察知することができます。

しかし、どれくらい波形がひずんでいるのか、可聴域のさらに上で発振しているのではないか、動かないのがプログラミング上のタイミングの問題なのか、それとも電圧やそもそもの部品不良なのかといったことを人間が察知するのはほぼ無理です。

商用電源の周波数帯くらいなら何とかなりそうな気もしますが。そんなデータ通信速度では使い物になりません。

そんな時にあると便利なのがオシロスコープです。

オシロスコープとは

詳しい説明はググってもらうとして、簡単に説明すると電圧の変化をグラフ化して表示するための機械という感じになります。

例えばテスターなどで電圧をはかり、それを記録していくことで電圧変化をグラフにすることができますが。それをもっと確実にやるための機械がオシロスコープというものです。

種類

大きく分けてアナログ式とデジタル式の二種類があります。
デジタル式にはさらに接続方法や形式によっていくつかの種類に分かれます。

アナログオシロスコープ

特徴としては電圧の変化をADCなどを使ったデジタル信号でとらえるのではなく、アナログで検出してブラウン管に表示するオシロスコープ。オシロスコープの基本形としてもっとも古くから存在するし、今でも新品が入手可能。アナログなので詳細な解析は苦手だし、PCなどとの連携もあまり考慮されていない。恐らくテレビなどで登場し「なんか研究してるっぽいシーン」で登場する波形が出るやつ。というのはアナログ式のものが多いと思われる。

大がかりな設備でなんか研究してる感があるからね。

基本的にホビーユース。特にマイコンを扱う場合としては過去の産物という見方なのだが。オシロスコープの基本を学習するのには最適であるし、企業がデジタルへの移行などで大量放出していたり、何十年も前の機械でも動いたりするのでアンプの作成やアナログメインの人ならば一考の価値はあると思われる。

デジタルオシロスコープ

特徴としては、AD変換を行い、デジタルの数値として記録、集積し表示している。基本的にはパソコンと同様の仕組みである(現に中でWindowsが動いてるものも存在する)。デジタルなので当然のようにPC連携を考慮されていて、どうせPCにつなぐなら…という事で測定機構のみの製品も存在する。それ以外にも様々な測定機能や連携機能などを追加した製品が多い。

現在の主流であり価格帯も1万円を切るモデルから存在する。

マイコンを使うならデジタルの利点を最大限に生かすことができるし、ネットに結果をアップするのにも使える。デジタル変換なので機器の分解能を逸脱した電圧変化には対応できない。分解能を上げようとすると当然高価になる。

また、デジタルの場合は形状によって「スタンドアロン型」と「PC接続型」の2種類に分類される。スタンドアロン型はアナログオシロと同様に単体で利用ができるタイプである。PC接続型はPCとの連携を重点に置き、液晶や操作盤などはついていないが表示や演算関係をPCに任せて、内部はADコンバータとコントローラで実現できるためその分安価で性能が良いものが多い。

価格

オシロスコープの価格はアナログなら10万円前後。デジタルなら1万円~というのが主な価格であり。測定器なので上を見ればきりがなく、精度や性能を下げればかなり安いものまで存在するのが基本である。

とはいえ精度や性能が低い個人でも買えるようなオシロスコープが出てきたのは最近の話で基本的には個人ユースなんて考えていないものが多く、アナログがメインであったことと。デジタル機器もまだまだ高価だったこともあり。つい最近までオシロスコープなんて高嶺の花だったわけです。

今はRaspberryPiやArduinoの出現で個人ユースの需要も高まったのと、デジタル化による低コスト化で5万円も出せば個人としては十分な性能のオシロスコープが買える時代になりました。

帯域幅

簡単に言うとそのオシロスコープがどれくらいの周波数まで測定できるかという話になります。
ただし、数値そのままの周波数が測れるわけではなく(正弦波であればその通りなのだが)矩形波や三角波などを測るためにはその目的の周波数帯の4倍以上、できれば10倍の性能が必要なようです。

たとえばArduinoのクロックが16MHzなので、これを測ろうとすると64MHz以上、できれば160MHz以上の帯域幅は確保したいところなのですが。意外と200MHz測れるオシロって高いのでデジタル通信に関しては基本的に波形より通信タイミングが関係しているのでロジックアナライザを使うという手もあると思います。

チャンネル数

そのまま一度にいくつの波形が測定できるかという話で。オーディオ向けであれば入力と出力で最低2ch必要になります。デジタル信号であればSPIで4本、パラレルだと信号の数だけ必要になります。

基本的な製品では2チャンネル搭載した製品が多く。ホビーユースで利用するなら4chもあれば十分でしょう。それ以上のチャンネル数となると途端に金額が上がりますし。ホビーユースで4ch以上となると恐らくはアナログデータよりもデジタル通信の話になってくるのでロジックアナライザを買うべきでしょうし。

分解能とサンプリング周波数

デジタルオシロスコープの場合、サンプリング周波数といい1秒間にどれくらいの回数データを測定できるかというのが重要になってきます。この値が大きいほど、滑らかな波形になり、一瞬の電位変化なども感知できます。

また、分解能といって、1回の測定結果がどれくらいの粗さで測定することができるかという指標も存在します。

  • 分解能とは
    例えば1メートルまで測れる物差しがあった場合。その物差しのメモリが1cm単位でついているか、それとも1mm単位なのかというのが分解能である。
    たとえばアナログの場合は1cmのメモリがついていたとしても「2cmのメモリの少し上」という状況が存在しうるのですが。デジタルの場合は1cm単位での測定になるので2cmのメモリの少し上というのは「2cm」や「3cm」と表示されます。これを1mmでメモリがある物差しを使えば2.2mmという数値で測定することができる。この測定の粗さを分解能としてあらわす。

基本的にはサンプリング周波数も分解能もどちらも「一定のものをどれくらいの間隔で測定するか」という事においては同じものなのですが。時間方向の分解能をサンプリング周波数、数値方向の分解能を分解能というのが一般的なようです。

その他

ほかにも考慮するべきところはいくつかありますが。

まぁ最低限押さえておきたいところとしてはこのあたりですかね。

もう少し詳しい説明がほしい場合は専門の書籍などを見るといいと思います。

機種の選択

ホビーユースで使う上で一番気になるのが値段である。

企業などが製品の開発やデバッグ、出荷試験などで使う場合には必要な性能と精度やアフターのことも考えて買う必要があるが。基本的にホビーユースであれば最低限必要なことができ、ある程度数値が合っていれば問題ないし、測定結果が実用に耐えないレベルでずれてきたら買い替えるという手段を使えるのであまり高い製品である必要はなく。

基本的には可聴域とある程度(数百kbps~数Mbps)のデジタル通信がモニタできれば十分なので。安価なデジタルオシロスコープでよいと思われる。

ではいくらのものがあるのかというと、上を見たら家や車が買える値段のものもあるので、下を見ていく。下を見るとだいたいメインの価格帯というのは20万円前後で、これくらい出せばホビーユースとしては十二分すぎる性能が得られるだろう。

しかし、量産製品を作るわけでもないのにそんな高いものは買えない。異常動作を検知できなくても人が死ぬわけでもない。もちろん相当な大きさのコンデンサでも吹っ飛ばしたり、不意に高電圧が流れたりして死なないこともないと思うけどそんなものはオシロを使う前にクリアしておかなければならい問題。

というわけで必要な性能と予算を以下の通りに決めました。

  • デジタルオシロスコープである
  • メインがオーディオなのだがSPI(400kbps)もみたいので10MHz程度はほしい
  • サンプリング速度はあまり気にせず
  • 分解能はまぁ8bitあればいいでしょ
  • 予算は3万円前後
  • あまり大きくない奴
  • 2chだけどできれば4chほしい。

ということで、以下の製品が候補にあがりました。

  1. SDS5032E
    帯域幅 30MHz
    サンプル 125MS/s
    3.2万円
    OWON製
    いわゆる「オシロ」の形。しっかりしたもの。
    ただしメーカー自体の評判がよくない。
  2. DSO nano
    帯域幅 200kHz
    サンプル 1MS/s
    1万円切り
    SeeedStudio製
    ちょっとお話にならないレベル
  3. DDS140
    40MHz
    100MS/s
    1万ちょい
    SainSmart製
    USB接続タイプで2chだがオプションでロジアナにもなる。
    オシロとしての性能はいい。PC必須
  4. DSO Quad(DSO203)
    10MHz
    72MS/s
    2万円~3万円
    SeeedStudio製
    ちっちゃい。4chある。(うち2chはDC)

この中からサイズと価格、性能のバランスがよさそうなDSO Quad その互換機であるDSO203を買いました。Amazonで2万円前後で売ってます。

なお、中古であることを気にせず。入手に時間がかかってもよいのであればヤフオクや中古屋で中古のオシロスコープを探すというのも手です。中古とはいえ基本的に直前まできちんとした企業でメンテナンスや校正に出されていたものが多く出回っており。クリーンルームで使用していたものを選べば外見はほぼ新品です。

性能も企業が使うにはう不足して買い替えたかもしれないけど、個人が使う上では十分なものがあまり高くない金額で入手できたりするので中古も視野に入れておくのはよいと思います。

前置きが長くなりましたので分けます。

 

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