作成日時:2016年10月12日 14時42分21秒
更新日時:2020年11月28日 16時59分21秒
この記事は8年ほど前に投稿されました。内容が古くなっている可能性がありますので更新日時にご注意ください。
またアンプを作ります。今回は特に何か目標があったわけではなく、よさそうなICがあったので作ることにしました。
制作計画
今回はTi社から出ている(っていうか前回もだけど)TPA1517NEというICを見つけたのでこれを使ってみたいと思います。
TPA1517NEについて
4Ω負荷時6Wの出力が得られるAB級のステレオアンプICで、少ない部品構成で動かすことのできるICです。このICを知ったのはこの前ヘッドフォンアンプでレールスプリッタを参考にしたnabeさんの以下のページです。
TPA1517に関しては、キット化されているという事もあり、nabeさんのデュアルアンプ構成で構成された制作例が多く利用されていますが。省スペースに収めたいので今回はメーカー仕様書の回路をコピーして作りたいと思います。(デュアルアンプ構成で使っても十分小型ですが。)
回路図
今回制作する回路図はこんな感じ。
といってもほぼデータシートのコピーですが。今回は(今回も)シャットダウン機能は使わないのでON固定にしています。
このICの面白い特徴として、本来使用しているピンは左側の9ピンのみで、ほかのピンはすべて放熱に利用されているという事です。
ちなみに放熱ピンなのですが、GNDと書いてあるのでGNDと接続している人と、ループになるからと離している人がいました。金属ケースによる放熱や大型の放熱板を利用する場合は、長距離のGNDループとなるため離した方がいいと思いますが、小型の放熱板をICに乗せたり、はんだパターンや基板裏に銅板などをつける場合は正直どっちでもいいと思います。
部品選定
ICはいいとして、1μFのコンデンサは電源部に取り付けるコンデンサ(C6)は電解。あとの2つはフィルムコンデンサを利用しました。
2.2μFのコンデンサは無極性コンデンサを使いましたが普通に有極性でいいです。
電解コンデンサである必要はあるみたいですが。
470μFのコンデンサは出力カップリングなのでそれなりの電解コンデンサが必要でしょう。
手に入る限り高音質型のものを使いましょう。
10kの抵抗が一本ありますが。
これは特に音質にかかわるものでも大電流が必要なものでもなく。適当に安いものやあまりものでいいと思います。(私は前回のヘッドフォンアンプに使った12kを使いました)
部品リスト
合計 | 1067 | |||||
部品 | 型番 | 購入店 | 単価 | 個数 | 税 | 計 |
片面ガラス・薄型ユニバーサル基板Cタイプ(72x48mm)めっき仕上げ(日本製) | P-04718 | 秋月電子 | 60 | 1 | 込 | 60 |
ステレオ、中出力、Class-AB オーディオ・アンプ | TPA1517NE(L) | マルツ | 372 | 1 | 抜 | 402 |
電解コンデンサー(オーディオ用標準品)25V 470μF | UKW1E471MPD | マルツ | 135 | 2 | 抜 | 291.6 |
積層メタライズムフィルムコンデンサー63V 1μF | PCMT36771105 | マルツ | 110 | 2 | 抜 | 238 |
電解コンデンサー 50V 1μF | KMG50VB1M | マルツ | 20 | 1 | 抜 | 21.6 |
両極性アルミ電解コンデンサー 50V 2.2μF | 50BP2R2 | マルツ | 41 | 1 | 抜 | 44 |
抵抗 1/4W 10kΩ | 任意 | 任意 | 任意 | 1 | - | 10 |
秋月の基板はこの前ヘッドフォンアンプを作った時に予備として買っていたもののあまりです。
部品一覧。
出来れば全部オーディオ用で。可能な限りいいやつを使いましょう。
今回はそこまで高級なものを選んでもあれなのでまぁそこそこのものに。
動作確認
ブレッドボードで動作確認。この時点でなかなか音がいいです。
基板設計
今回利用する基盤はこのサイズ。
20ピンICとコンデンサが6個程度で完成するので、コンデンサの耐圧や容量を吟味すればこれくらいの基板に十分収まります。
仮で部品を置いて設計。
今回、もともとオペアンプを前段に置こうとしていたのですが。カレントミラーが吹っ飛んだのでとりやめとしました。
というわけで最終的に完成した基盤がこれ。
縦置きでは窮屈だったのと、オペアンプを使わない回路に変更したのでこうなりました。
裏面。放熱ははんだを盛ってみましたがこれで一応死なない程度には放熱してるみたいですが、やっぱりヒートシンクを乗せた方がよいと思います。
完成
配線を取り付けて完成。
大きなスピーカーにつないで鳴らしている様子。
結構いい音でなります。
組み立て
この後作った電子ボリュームと合わせて完成させます。
電子ボリュームについて
次の記事で作成した電子ボリューム基板をこのアンプに組み込んで完成させたいと思います。
この電子ボリューム基板はメインICにNJW1159Dを採用し、ICが持っているオペアンプではなく外付けのOPアンプをバッファとして使っており、ヘッドフォンアンプとして使えるようにも視野に入れて作っております。なので、今回はスピーカー用のパワーアンプだけではなく、ヘッドフォンアンプとしても使える構成にしてみたいと思います。
なお、この記事のボリューム基板は高周波ノイズがのっていたりと、ちょっと微妙なので再考の余地ありです。制御はAVRマイコンで行い、恐らくこちらからノイズが出ているものだと思われます。このアンプに関しては電子VRを使うよりもアナログVRの方がよいかもしれません。
使用部品
ケースはいつものタカチ製ではなくリードが出しているPSA-3というケースにしました。
本当はもう少し凝ったケースを使いたいところですが。まだ加工技術が甘いので安いケースで練習です。
部品一覧。このあたりの部品は各自手に入るものを利用してほしいので今回は部品リストはなしです。
ちなみに右上に写っている大きな抵抗2本は使っていません。
今回基板を固定するのにいつもは円筒状のスペーサーをかませていましたが。今回はねじ込み式のタイプにしました。
恐らくこちらの方が確実に固定ができ事前に基板orケースに固定しておけるので操作性が上です。
電源ランプは前回のHPAで利用した電球色LEDと組み立て式ブラケットセットです。
抵抗は普通のカーボン抵抗でもよいのですが、キンピの22kが沢山余っているのでこれにしました。
音声入力用のコネクタ。今回は非絶縁タイプを使用。
ヘッドフォンとスピーカーはさしっぱなしでも切り替えができるようにスイッチで切り替えます。2回路入りトグルスイッチを使ってアナログ的な切り替えを行っています。
電源スイッチはいつものやつ。
ACアダプタ入力用のDCジャックもいつものやつ
ボリュームは50kAカーブにしました。
このボリュームはAVRのアナログ入力につながっており別に音声信号が流れるわけではないので品質は問いません。
ヘッドフォン端子は据え置き型という事で標準プラグにしました。
スピーカー端子も音質より操作性を優先しこちらのタイプに。
作業
まず内部の配置を決めます。
今回はこの後ヘッドフォン用のバッファを取り付ける予定があったため間を少し開けることにしました。
フロントに取り付ける部品の位置決め | リアに取り付ける部品の位置決め |
実物をケース上においておおよその位置を決めます。
マジックで線を引き
穴あけ加工。今回はうまくいきました。
LEDブラケットを組み立て。
入力端子はこんな感じでこの段階でGNDを共通化させておきます。
配線した感じはこんな感じ。切り替えスイッチの抵抗はこの後とりました。
完成
仮組み状態で動作テストを行い、つまみやふたをつけて完成。
最後に
今回はひとまずここまで。
あとは音量調整を電子ボリュームでやるか、それともアナログボリュームを使うのか。
ギャングエラーなどを考えると電子ボリュームの方がいいのだけど。回路が複雑になるしおおきくなってしまう。しかし、ここまで小さいなら多少大きくなっても問題ないかと。
というわけでどうするか決まり次第次を書きたいと思います。それでは。
特にあらためて書くほどのことがなかったのでこの記事に追記しました。