作成日時:2018年02月24日 19時42分37秒
更新日時:2020年11月28日 16時59分21秒
この記事は6年ほど前に投稿されました。内容が古くなっている可能性がありますので更新日時にご注意ください。
TCB501HQの回でアンプはしばらく作らないっていったな。アレは嘘だ。
というわけで今回もアンプICを動かします。
はじめに
本当はこのICを501の前に作る予定だったんだけど、紛失してしまっていまして。それが出てきたので作りました。(だから501HQの中身を作ったときに後回しにすることにしちゃった😛
今回も車載向けアンプで、2Ω時45Wが得られます。普通の家庭用スピーカーが6Ω前後なので、実効3分の1の15Wくらいになるんでしょうか。
このICは何やら某雑誌で基板が付属していたもののようで。残念ながらその雑誌は入手していないのですが。それなりに音質は良いとの噂がありましたので買ってみました。
回路設計
今回も例に漏れずメーカー仕様書の回路をそのまままねします。
今回はメーカー仕様書7ページにある回路図にしました。
ちなみにこのICはモノラルなので、基本的には同じ回路を2セット作る必要があります。
構成部品(1セット分)
※写真は2セット分あります。
合計 | 1596 | |||||
部品 | 型番 | 購入店 | 単価 | 個数 | 税 | 計 |
STmicro ABClass パワーアンプ | E-TDA7396 | マルツ | 723 | 1 | 抜 | 781 |
ニチコン オーディオ用電解コンデンサ 1000μF 25V | UFG1E102MHM1TN | マルツ | 263 | 1 | 抜 | 285 |
WIMA ポリエステルフィルムコンデンサ 0.22μF 63V | MKS2C032201B00JSSD | マルツ | 50 | 2 | 抜 | 108 |
村田 積層セラミックコンデンサ 0.1μF 50V | RPEF11H104Z2P1A01B | 秋月 | 10 | 2 | 込 | 20 |
Multiwatt11ピッチ変換基板 | MW11-DIP | aitendo | 50 | 1 | 別 | 54 |
ニチコン オーディオ用無極性電解コンデンサ 10μF 25V | UES1E100MDM | 秋月 | 15 | 1 | 込 | 15 |
100kΩ カーボン抵抗器 1/4W | – | 秋月 | 1 | 1 | 込 | 1 |
15kΩ カーボン抵抗器 1/4W | – | 秋月 | 1 | 1 | 込 | 1 |
51kΩ カーボン抵抗器 1/4W | – | 秋月 | 1 | 1 | 込 | 1 |
70x30x5mmアルミ角材(放熱板) | 不明 | ホムセン | 305 | 1 | 抜 | 330 |
1台分の数量と金額です。ステレオにするなら倍の個数と金額がかかります。
ピッチ変換基板・セラコン・抵抗の値段はパック入りの1つ分の値段を書いています。
今回の主役であるTDA7396。一般的に入手できるモノが、共立エレショップのものと、マルツのものがあり、頭にE-が付いているかいないかの違いがありますが。環境性能が違うだけでどちらもほぼ同じようです。
今回はaitendoというところが出している変換基板を使いました。なにやら別のアンプのために設計されたモノっぽいですが、とりあえず使えます。
なかったらなんか適当に良い感じにしてください。
抵抗。今回は音質に影響する抵抗は全くないので、すべて安いカーボン抵抗でよいでしょう。ただし、もしかしたら51kΩの抵抗は音質に影響を及ぼすかもしれませんので、2ch以上で構成する場合は、気になるのであれば金属皮膜抵抗ないし有名メーカー製を使用しましょう。
上から100k 51k 15kオームです。すべて手持ちのものを使用。買った店がバラバラなので全部メーカーが違います。
写真は100kのみが金被抵抗になっていますが、手持ちがこれしかなかったのでこれにしました。
コンデンサ類。0.22μFおよび電源用の1000μF、10μFはオーディオグレードを使用。
直接音質に影響するようなものは0.22μFのみ。10μFも仕様書に乗っている説明を見ると、影響しそうだけど0.22μFほどでもないだろう。
というわけで電源は見た目。10μFはストックがあったというのが採用理由です。
0.1μFは全く音質に影響のないところなので、セラコンを採用。部品点数が少ないので他のものでもよいでしょうが、あまり高いものを選ぶ必要もないところです。
基盤はタカチの両面基盤を使いました。通常の片面基盤でも十分行けると思いますが、今回は裏にICがきますので両面基盤のほうが操作性がよいです。
ヒートシンクには何の変哲もないホームセンターで売ってる30x70x5mmのアルミ板を使用。これでも普通の音量なら問題なさそう。ただし、今回はアンプICを足替わりとして金属筐体に接触させて筐体も放熱板として使いますので、ICを筐体と接触させないのならペアで大きめのヒートシンクを採用したほうがよいと思います。
部品リストにはありませんが、メイン基板と変換基盤の連結にはL字のピンヘッダを使います。ここは鈴メッキ線や余ったリードで代用してもよいので。各自適当にやってください。
制作
まずはICを半田付けしますが。この際に以下のようにしてなるべく傾きがないようにします。
ここであまり誤差が大きいと、この後ケースに取り付ける際に浮いてしまったりして。放熱性が悪くなります。
また、今回は最終的に筐体に放熱するので2つを別々の板に載せましたが、実際の所は、2つの半導体の温度はある程度一致させる方が2つのICのでの性能差が出ずに音質の違いが少なくなります。もし1つの放熱板なりヒートシンクで取り付ける場合は、先にICをまっすぐに取り付けて作業をすると良いかもしれません。
正面から見るとこう。画像では少し曲がってますが、これくらいなら許容範囲です。
なお、今回はこちらの基盤にも実装する部品がありますので、裏面のICの足は長めにとって切り取らないでおきます。
Iと電源である3番と9番ピンを結ぶリード線を取り付けました。
ここで電源側の端子をショート指定おくことで3番もしくは9番の片方に電源を接続すれば良くなり、回路の取り回しがしやすくなります。
次に10、11番ピンから6番ピンにむけて10μFのコンデンサと51kの抵抗を取り付けました。
この2つは参考にした回路と同じページにある参考基板パターンを見るとなるべく近くにおいた方が良さそうなのでここに繋ぎました。
ちょっと画像が前後しますが。電源側に付いている0.1μFのコンデンサはパスコン的意味合いが強いと思いますので。ICの直前に持ってくるようにしました。電源平滑用の大きめのコンデンサはどこに搭載しても良いと思いますが。できるだけICの近くが良いでしょう。私は緑の基板上に搭載しました。
ICにピンヘッダを取り付けました。ちょっとピンが足りなかったので、基板に実装した番号のピンは省略しています。
このように基板に搭載します(画像は使い回し)
こちらが裏側になって、他の部品は反対側に取り付けます。別に裏返しで使っても良いですが。
基板上の部品を装着します。今回は大きめの基板を用意しましたので適当に配置しました。
といってもこちらに実装する部品は入力のコンデンサと診断結果出力ピン用の抵抗・コンデンサのみなので正直基板も必要なのかどうか。
また、3番と6番ピンの電源ピンは、反対側に出して1000μFのコンデンサに接続しやすいようにしました。
というわけで基板が完成しました。
今回は最初からAWG20の配線を使いました。
リード線の接続先は緑色の端子が上から12V、GND、スタンバイ、診断用の5V入力。
下の青い端子は診断結果の出力用です。手前の端子4つ(8接点)は1chごとに左から入力- 入力+ 出力- 出力+です。
なるべく電源系と診断結果のデジタル系は並行しないようにしましょう。
スタンバイ用の配線は裏を通しました。
その他の配線はスズメッキ線を用いて配線しました。
次に放熱板を取り付けます。
放熱板への穴開けはアルミ程度でしたらリーズナブルなドリルで問題なく出来ます。
今回は穴開けだけでなく、タップも掘ってワッシャー無しでもネジが止められるようにしました。
加工完了!よっしゃ取り付けるぜ!!!!!!
しかし、この後起きる悲しい悲劇を、このとき彼はまだ知らなかった。
取り付ける面にシリコングリスを塗ります。シリコングリスは不要なカードなどで薄く広げます。
シリコングリス自体はホームセンターなどで1000円以下くらいで売ってますが。PCを自作する人などでCPU用のグリスが余っている場合はそれを使っても良いでしょう。なお、写真では両方に塗っていますが。不測の事態を考えると1つずつ塗った方がよいでしょう。
あっ!
仕方ないのでこっちだけ穴を1つずらしました。
というわけで完成しました!
IC部分はこうなっております。他の穴は筐体に取り付けるための穴です。
一応この状態でも、両方とも同じくらいの温度になっていますのでだいじょうぶでしょう。
動作確認
無事音が鳴りました。
ちなみにこのICはシングルエンドと差動入力に対応していますが。テストした環境では差動入力は盛大にノイズが乗りました。
ホワイトノイズ系のノイズなので、ケースに入れれば問題ないかもしれませんが。入力端子のマイナス側をショートさせる(回路図J1を短絡させる)ことによってシングルエンドにて動作させるとノイズが解消されるので、とりあえずコレで行きます。
音質
上から下までよく出ていて、そもそもICと回路が別なので当たり前だが左右の分離もよく。力強い感じの音が出る。正直今までで一番音が良い気がする。
個人的な好みは501HQのほうだが、メインで使用するアンプに搭載させても十分。全体的にクリアなので聴き疲れもない。
今回のICは非常に高音質で良い石なのですが、個人的な理由で完成品は作らない予定です。もしかしたら前回のアンプとアンプ部分を入れ替えるかもしれませんが。今のところはここで終わりです。
次の記事ですが、まずはいくつか完成品を買っていますので、そのレビューなどを載せる予定です。たいしたものではないですが。時期的にはモチベーション次第ですが、そこまで間隔は開かない。3月上旬程度には公開できそうです。